融資

【創業融資を受けるための基本②】創業融資の徹底比較・日本政策金融公庫融資と制度融資

投稿日:2018年10月26日 更新日:

 

創業融資を考える上では、「日本政策金融公庫による融資」と「信用保証会付き制度融資」の2つの特徴や内容を知っておくことは、創業融資を引き出す上で重要です。この2つの内容を比較検討することで、自分にあった制度を知ることができ、審査で落ちるといったことを未然に防ぐことができます。

 

 

「日本政策金融公庫 新創業融資」と「制度融資(東京都)」の要件と特徴

無担保無保証の政府系融資には、代表的なものとして日本政策金融公庫(以下、「日本公庫」といいます。)の「新創業融資」と各都道府県や市区町村が取り扱う制度融資の一部の「創業融資」がありますが、その内容は似ているように見えますが、微妙に異なっています。

この2つの融資のその主な特徴と違いを比較すると次のとおりとなります。(比較対象の制度融資として東京都の制度融資を取り上げています。)

 

「創業融資」の比較表

日本公庫「新創業融資」 東京都制度融資「創業」
利用条件 次の1~3のすべての要件に該当すること。

1.新たに事業を始めること、または事業開始後税務申告を2期終えていないこと

 

2.次のいずれか(主要なものに抜粋)に該当すること

①雇用の創出を伴う事業を始めること

②技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始めること

③現在勤務する企業と同じ業種の事業を始める者で、次のいずれかに該当すること
ア 現在の企業に継続して6年以上勤務していること

イ 現在の企業と同じ業種に通算して6年以務していること

④大学等で修得した技能等と蜜接に関連した職種に継続して2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した業種の事業を始めること

⑤①~④までの要件に該当せず事業を始める場合であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた者で、1,000万円を限度として本資金を利用すること

⑥すでに事業を始めている場合は、事業開始時に①~⑤のいずれかに該当すること

 

3.自己資金の要件

事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できること。ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものされる

次の1~4のすべての要件に該当すること

1.信用保証協会の保証を受けられる者であること

2.都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいること

3.税金の未申告、滞納がなく事業に必要な許認可等を受けていること

4.次のいずれかに該当すること

①事業を営んでいない個人であって、1 か月以内に新たに個人で又は 2 か月以内に新たに会社を設立して東京都内で創業しようとする具体的計画を有していること

②創業した日から 5 年未満である中小企業者及び組合(個人で創業し、同一事業を法人化した方で、個人で創業した日から 5 年未満の方を含む。)

 

資金使途 事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金 事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金
融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円) 3,500万円(条件により変動あり)
返済期間 新規開業資金と合わせての利用の場合

運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)

設備資金20年以内(うち据置期間2以内)

運転資金7年以内(うち据置期間1年以内)

設備資金10年以内(うち据置期間1年以内)

利率 利用する制度によって異なるが新創業融資制度(無担保・無保証人)を希望する場合 基準利率 2.26%~2.85% 【責任共済制度の対象となる場合】

融資期間により(固定金利) 1.9%以内~2.5 %以内又は

(変動金利)短プラ+0.7%以内

【責任共済制度の対象外となる場合】

融資期間により(固定金利) 1.5%以内~2.0 %以内

又は(変動金利)短プラ+0.2%以内

担保保証 原則不要(原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっている。法人の場合は、代表者が連帯保証人となることも可能で、その場合は利率が0.1%低減される) 保証人:原則として法人の代表者を除き不要

担保:原則として無担保

 

「日本政策金融公庫融資 新創業融資」と「制度融資(東京都)」の項目別比較

日本公庫の「新創業融資」と制度融資 (ここでは東京都都制度融資で比較しています。)ではどちらが優れているか項目別にみていきます。

※制度融資は、各都道府県や市区町村ごとで内容が異なります。以下、東京都の場合で比較を行っていますが、場合によっては違う結果となる場合があります点にご留意ください。実際の融資の申請にあたっては、自分の県等ではどうなっているのかを事則にご確認いただいた上でお申込みください。

 

申込み期間

創業してからいつまで申込みが可能なのかについて見てみます。

 

・日本公庫の「新創業融資」 「開業前から事業開始後税務申告を2期終えるまで」

・東京都制度融資「創業」 「開業前から創業後 5 年未満まで」

 

制度融資の方が、だいぶ申込期間の幅が広くなっています。

日本公庫では、税務申告を2期終えるまでとなっており、2年ではないことに注意が必要です。

 

ポイント

制度融資が優勢

 

利用条件(自己資金要件以外)

 

・日本公庫の「新創業融資」 「全部で4つのパターンがあり」

・都制度融資「創業」 「ほぼ制限なし」

日本公庫の「新創業融資」では、①~④までのバリエーションがありますが、実際一般的に利用する条件としては、①~③が当てはまってくる方が多いと思います。

一方、東京都の制度融資については、都内で事業を営むことが最低限必要となりますが、その他の条件として厳しいものはありません。

 

ポイント

制度融資が優勢

 

利用条件(自己資金)

 

・日本公庫の「新創業融資」 「事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できること)。ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」等に該当する場合を除く)

・東京都制度融資「創業」 「原則的になし」

 

自己資金要件とは、「事業のためにかかる金額のうち、その10分の1以上については自分の資金でまかなうことが必要」というルールです。

日本政策金融公庫では10分の1が必要となっていますが、審査を突破し融資を受けるためには最低でも3分の1以上の自己資金が必要と言われています。

これに対し、東京都制度融資では、申込みの際の自己資金要件は原則としてありません。しかし、実際に融資を受けるためには自己資金の金額が重要な要素となることは日本公庫の場合と同じです。

 

ポイント

制度融資が優勢

 

融資限度額

 

・日本政策金融公庫の「新創業融資」 「3,000万円(うち運転資金1,500万円)」

・東京都制度融資「創業」 「3,500万円(条件により変動あり)」

 

東京都制度融資については、条件などにより限度額が変わってきますが、総じて制度融資の方が有利といえそうです。

 

ポイント

制度融資が優勢

 

返済期間 ・ 据置期間

 

・日本公庫の「新創業融資」 「新規開業資金と合わせての利用の場合 運転資金7年以内、設備資金20年以内(いずれも据置期間2年以内)」

・東京都制度融資「創業」 「運転資金7年以内、設備資金10年以内(いずれも据置期間1年以内)」

日本政策金融公庫では創業融資として利用する制度により異なってきますが、総じて制度融資よりも長いといえます。

また、据置期間についても日本公庫のほうが最大で2倍ほど有利となっています。

 

メモ

据置期間とは、元金の支払いを棚上げし利息のみを支払えばよい期間のことをいいます。

 

ポイント

日本政策金融公庫融資が優勢

 

金利

金利については、どちらの制度も条件等により変動するのですが、東京都の制度融資の方がやや有利となっています。

ただし、制度融資を利用する場合には、融資金利の他に別途、信用保証料がかかりますので、その保証率によっては日本公庫のほうが有利となる可能性があります。

 

メモ

表面的には制度融資がやや有利。ただし、 実質的な比較では逆転の可能性もあり

 

担保・保証

 

・日本政策金融公庫の「新創業融資」 「原則不要」

・東京都制度融資「創業」 「保証人:原則として法人の代表者を除き不要 担保:原則として無担保」

 

制度融資の場合では、法人で融資を受けた場合には、信用保証協会や金融機関等の一定の要件を満たす場合を除き、原則として代表者やこれに準ずる者の連帯保証が必要となります。

これに対して日本公庫の「新創業融資」では、法人が借人れをした場合に責任を負わなければならないのはその法人だけであって、原則としてその代表者は連帯保証人とはなりません。(状況によっては代表者や第三者の保証人を求められることはあります。)

日本政策金融公庫の創業融資を使って法人で借りた場合に、もし代表者の保証を求められなかったとすれば、代表者の負担は非常に軽いものになります。

 

ポイント

日本政策金融公庫が優勢

 

総括

ここまで日本政策金融公庫の新創業融資と東京都の制度融資の内容や特徴を比較してみてきました。

どちらかが一方的に優れているということはなく、どちらの制度にも優れた部分があります。ご自分が今置かれている状況や優先事項(例えば、連帯保証人は不要にしたい等)を定めて、ご自分にあった創業融資を利用しましょう。

 

 

次回以降予定しておりますテーマは以下になります。

・創業融資 申込手順について

・融資を引き出す事業計画書の書き方

・融資の条件となる自己資金の考え方etc

 

起業・創業融資のご相談について

当事務所では、これから起業を目指している方や起業したばかりの方に対しても、創業融資を含めた起業に関するご相談をお引き受けしています。

初回ご相談は無料です。

その後継続してご相談頂く場合も、「創業前サポート」により格安でご相談頂けます。

次のようなことでお悩みの方は、ぜひご相談ください。

「個人か法人か、どちらが適しているか分からない」

「事業計画をどうやって作ったら良いか分からない」

「具体的な開業手続きはどうしたらよいか」

「開業後の事務的な手続きは何があるのか」

-融資
-,

Copyright© 大田区蒲田の税理士がつづる税金・節約のはなし , 2018 All Rights Reserved.