法人事業税は、事業の内容や法人の種類、期末資本金又は出資金の額により、課税される事業税の種類が変わってきます。また、令和6年度税制改正により、資本金が1億円以下の法人であっても一定の場合には外形標準課税の対象となることになりました。今回は事業税の種類のうち「外形標準課税」について、その概要を見ていきます。
法人事業税の概要
法人事業税は地方税(道府県税)になり、法人が都道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う場合に納税義務が生じることになります。
法人事業税の課税標準は、その法人の行う事業、法人の種類、期末資本金の額又は出資金の額などに応じて異なってきます。そして、その課税標準の内容により、「所得割」、「付加価値割」、「資本割」、「収入割」等が課されることになります。
例えば、一般的な法人の場合、外形標準課税の対象とならない法人は「所得割」のみが課されるのに対し、外形標準課税の対象法人については、「所得割」、「付加価値割」、「資本割」が課されることになります。
なお、電気供給業、ガス供給業、保険業等については、事業の内容に応じて収入割等が課されるなど、異なる課税方式が定められています。
外形標準課税について
課税の趣旨と概要
法人の行う事業に対して課税する事業税は、法人が事業を行うにあたって享受する行政サービスの経費負担としての性格を有しています。そうすると、仮に法人の損益が赤字であったとしても享受したサービスに対応する税額は支払うべきとの考え方があり、これに応えるべく登場した課税方式が所得以外の外形基準を課税標準とする「外形標準課税」になります。
具体的な内容としては、付加価値額を課税標準とする「付加価値割」と資本金等の額を課税標準とする「資本割」があります。その他「所得割」についてはも課税されますが、外形標準課税の適用対象法人に課される所得割の税率については、付加価値割、資本割が課されるため、所得割のみが課される法人に比べて低い割合が定められています。
外形標準課税の適用対象法人
外形標準課税が適用される法人は、原則として、その事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人になります。
ただし、令和6年度税制改正により、資本金が1億円以下であっても、一定の法人については外形標準課税の対象となることになりました。
主な対象法人は、次のとおりです。
①事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
②前事業年度が外形標準課税の対象法人で、事業年度終了の日の資本金が1億円以下、かつ「払込資本の額(資本金+資本剰余金)」が10億円を超える法人
(令和7年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
③払込資本の額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、事業年度終了の日の資本金が1億円以下、かつ「払込資本の額(資本金+資本剰余金)」が2億円を超える法人
(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
②は、外形標準課税の対象であった法人が、資本金を1億円以下に減資することによって外形標準課税の対象外となることへの対応として設けられたものです。
また③は、大企業の100%子会社等について、資本金が1億円以下であっても一定規模以上である場合には外形標準課税の対象とするものです。
そのため、現在は単純に「資本金が1億円以下であれば外形標準課税の対象外」と判断することはできなくなっています。
なお、法人の種類や事業内容等によって適用対象外となる場合や特例がありますので、実際の判定にあたっては個別に確認する必要があります。
外形標準課税の計算方法
外形標準課税の対象となる一般的な法人には、「所得割」、「付加価値割」、「資本割」が課されます。
所得割
法人の所得金額を課税標準として計算します。
所得割 = 所得金額 × 税率
通常の法人事業税と同様に所得に対して課税されますが、外形標準課税の対象法人については、付加価値割や資本割も課されることから、所得割の税率は低く設定されています。
付加価値割
付加価値割は、法人が事業活動によって生み出した付加価値額をもとに計算します。
付加価値割 = 付加価値額 × 税率
付加価値額は、基本的に次のように計算します。
付加価値額 = 報酬給与額 + 純支払利子 + 純支払賃借料 ± 単年度損益
報酬給与額には給与や賞与などが含まれ、純支払利子は支払利子から受取利子を差し引いた金額、純支払賃借料は土地・建物等の支払賃借料から受取賃借料を差し引いた金額になります。
このほか、報酬給与額が一定割合を超える場合の雇用安定控除などがあります。
資本割
資本割は、法人の資本金等の額をもとに計算します。
資本割 = 資本金等の額 × 税率
ここでいう「資本金等の額」は、単純に貸借対照表に記載されている資本金の額ではなく、法人税法上の資本金等の額を基礎として一定の調整を行った金額になります。
このように、外形標準課税では、会社の利益だけでなく、給与や利子、賃借料などの付加価値や資本の規模についても課税の対象となります。
そのため、赤字法人で所得割が発生しない場合でも、付加価値割や資本割について法人事業税が発生することがあります。
※本記事は、一般的な税務上の取扱いについて解説したものであり、個別の事案に対する税務上の判断や処理を保証するものではありません。実際の取扱いは、取引内容や事実関係、適用される法令・通達等により異なる場合がありますので、具体的な判断に当たっては、税理士または所轄の税務署等にご確認ください。なお、本記事の内容は公開日時点の法令・制度等に基づいています。
