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【税務相談】少額減価償却資産の40万円判定に運搬費・設置費は含まれるか

令和8年度税制改正により、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、対象となる資産の取得価額が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられました。ここで注意したいのは、40万円未満かどうかを、本体価格だけで判定するわけではないという点です。

今回は、少額減価償却資産の40万円判定について、事例を見ながら確認していきます。

 

質問【40万円未満となる取得価額の判定】

当社は、青色申告書を提出している中小企業者等に該当する法人で、消費税については税込経理方式を採用しています。

令和8年7月に事務所で使用する業務用機器を購入し、事業の用に供しました。

本体価格、搬入運搬費、設置費の内訳は次のとおりです。

内容 金額(税込)
本体価格  370,000円
搬入運搬費  12,000円
設置費  23,000円
合計 405,000円

本体価格だけを見ると40万円未満ですが、運搬費や設置費を含めると40万円を超えます。

この業務用機器について、少額減価償却資産の特例を適用することはできますか。

 

ご質問への回答

業務用機器を購入した際に発生する事業の用に供するために直接要した費用(運搬費や設置費など)は、原則としてその機器の取得価額に含めます。

したがって、本体価格370,000円だけではなく、搬入運搬費12,000円および設置費23,000円を含めて判定します。また、税込経理方式を採用している場合には、消費税等を含めた金額により判定します。

今回の業務用機器の取得価額は405,000円となり、40万円未満ではないことから、少額減価償却資産の特例を適用することはできません。

原則として、固定資産に計上したうえで、通常の減価償却を行うことになります。

 

解説

40万円未満かどうかは「取得価額」で判定する

購入した減価償却資産の取得価額は、原則として、次の金額の合計額となります。

購入代価+資産の購入のために要した費用+事業の用に供するために直接要した費用

国税庁は、引取運賃や据付費について、購入した機械等の取得価額を構成する費用に該当するとしています。

したがって、少額減価償却資産の40万円判定においても、本体価格だけを見るのではなく、運搬費や据付費などを加えた取得価額を確認する必要があります。

 

 

税込経理方式の場合は税込金額で判定する

取得価額が40万円未満かどうかは、法人が採用している消費税等の経理処理方式に応じた金額で判定します。

税抜経理方式であれば税抜金額、税込経理方式であれば税込金額で判定します。

なお、消費税の免税事業者は税込経理方式によるため、税込金額での判定となります。

今回の法人は税込経理方式を採用しているため、業務用機器の取得価額は次のとおりです。

本体価格370,000円+搬入運搬費12,000円+設置費23,000円=405,000円

本体価格370,000円だけであれば40万円未満ですが、付随費用を含めると取得価額は405,000円になります。

したがって、少額減価償却資産の特例における金額要件を満たしません。

また、「40万円以下」ではなく「40万円未満」ですので、取得価額がちょうど400,000円の場合は対象にならない点も注意が必要です。

 

 

共通費用は合理的に配賦する

複数の機器をまとめて購入した場合、運搬費や工事費が一括して請求されることがあります。

このような場合には、特定の機器に直接対応する金額が請求書や業者の明細で確認できるのであれば、その金額を各機器の取得価額に含めます。

一方、直接の対応関係を確認できない共通費については、本体価格の比率など、費用の発生実態に合った合理的な基準で配賦する方法が考えられます。

 

判定は通常の取引単位ごとに行う

40万円未満かどうかは、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。

機械装置であれば1台または1基ごと、工具、器具及び備品であれば1個、1組または1そろいごとの判定が基本です。

そのため、複数台の機器がそれぞれ独立して機能し、通常も1台ごとに取引されるのであれば、それぞれの取得価額で判定します。

一方、複数の機器が一体となって初めて機能する場合には、1組として判定する可能性があります。

 

参考

 

40万円未満でも自動的に全額損金となるわけではない

取得価額が40万円未満であっても、それだけで特例を適用できるわけではありません。

法人の場合には、主に次の点も確認する必要があります。

  • 青色申告書を提出する中小企業者等に該当すること
  • 対象資産を取得し、事業の用に供していること
  • 取得価額の全額をその事業年度に損金経理すること
  • 一事業年度における適用額の合計が原則として300万円までであること
  • 確定申告書に別表16(7)を添付すること
  • 原則として貸付けの用に供した資産ではないこと
  • 常時使用する従業員数など、改正後の対象法人の要件を満たすこと

令和8年度税制改正では、取得価額の基準が40万円未満に引き上げられた一方、対象法人から常時使用する従業員数が400人を超える法人が除外されました。年間300万円の合計限度額は変わっていません。

 

まとめ

少額減価償却資産の40万円判定は、本体価格だけではなく、運搬費や据付費などを含めた取得価額で行います。

また、税込経理方式を採用している法人は税込金額、税抜経理方式を採用している法人は税抜金額で判定します。

今回の業務用機器は、本体価格だけであれば370,000円ですが、搬入運搬費および設置費を含めた取得価額は405,000円となります。

そのため、少額減価償却資産の特例における40万円未満の金額要件を満たさず、原則として通常の減価償却を行うことになります。

 

 

※本記事は、一般的な税務上の取扱いについて解説したものであり、個別の事案に対する税務上の判断や処理を保証するものではありません。実際の取扱いは、事実関係や適用される法令・制度等により異なる場合がありますので、必要に応じて専門家または関係機関へご確認ください。なお、本記事の内容は公開日時点の法令・制度等に基づいています

 

  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。HJコンサルティング合同会社 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

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