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【最も誤りが多い税務処理②】消費税の課税事業者選択の届出をマスターする

投稿日:2018年8月20日 更新日:

 

税理士が損害賠償を受けたミス事例の中で多いのは、消費税の課税事業者選択又は選択不適用に関する届出についてでした。

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今回はこのうち消費税の課税事業者選択・選択不適用の届出について、制度内容と注意事項について再確認し、マスターしていきたいと思います。

 

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課税事業者の選択とはどんな制度か?

消費税の納税義務

〇消費税の納税義務(確定申告が必要となる)は、基準期間における課税売上高をもとに判定します。

基準期間における課税売上高が1,000万円を超えると、消費税を納める義務が生じます。(課税事業者といいます。)

基準期間とは、個人事業者の方であれば前々年、法人の場合には原則として2事業年度前となります。

 

〇基準期間における課税売上高が1.000円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円(課税売上高に代えて、給与等の支払額によることもできます。)を超えると課税事業者となります。

特定期間とは、個人事業者の方の場合には、その年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人の場合には原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。

 

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〇新たに開業した個人事業者や新たに設立された法人(資本金が1,000万円未満の法人に限ります。)の場合には、基準期間は存在していませんので、原則として納税義務は免除されます。(こちらに関しては例外が多くありますのでご留意ください。)

 

課税事業者の選択とは?

上記納税義務の判定により、消費税を納める義務がない場合(免税事業者といいます。)には、確定申告は必要ありません。

そのため、設備投資が多額にあった場合や、輸出業者のように売上げに係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額が多く、経常的に還付が生じる事業者については、免税事業者のままでは、消費税の還付を受けることができません。

そこで、登場するのが「課税事業者の選択」です。

課税事業者を選択することによって、消費税の確定申告をする必要が生じますが、上記の状況の場合には、消費税の還付を受けることができるようになります。

 

課税事業者選択制度の特徴

〇一度、課税事業者の選択の適用を受けると、最低でも2年間又は2事業年度間の間は、継続して適用する必要があります。(例外もあります。)

 

〇免税事業者であれば、消費税の還付を受けることはできませんが、自ら課税事業者を選択することにより、多額の仕入・経費、大きな設備が生じ、実際の課税仕入れに係る消費税額が多額になった場合に還付を受けることができます

 

適用を受けるため・適用をやめるときの要件

〇課税事業者を選択する場合には、次の要件を満たす必要があります。

・課税事業者の選択の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している。

 

〇課税事業者の選択による適用をやめるためには、次の要件を満たす必要があります。

・課税事業者の選択の適用をやめる旨の届出書を事前に提出している。

 

なお、選択の適用をやめた場合でも、基準期間の課税売上高等による判定の結果、課税事業者となる場合には、消費税を納める義務が生じます。

 

消費税課税事業者選択届出書の提出期限と効力発生日

この制度の適用を受けるために必要な届出=「消費税課税事業者選択届出書」は、原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに提出することが必要です。

ただし、新たに事業を開始した場合には、その事業を開始した日の属する課税期間(個人の場合にはその年、法人の場合にはその事業年度)の末日までに提出すれば、その課税期間から課税事業者となります。

 

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※名称がよく似た届出に「消費税課税事業者届出書」というものがありますが、まったく別物ですので間違わないようにご注意ください。

 

消費税課税事業者選択不適用届出書の提出期限と効力発生日

課税事業者の選択の適用をとりやめる場合には、原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があります。
不適用の届出書を提出した翌課税期間からは、原則通り基準期間における課税売上高等により、消費税の納税義務を判定します。

 

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届出の提出にあたって留意すること

〇まず、以前に課税事業者選択に関する届出が提出されているかどうかは必ず確認をお願いいたします。

自分は提出していないと思っていても、忘れていたり、顧問税理士が提出していたりする場合もあります。

記憶が定かでない場合には、税務署でも確認が取れますので確認をお願いいたします。

 

〇届出の提出期限でみたとおり、課税事業者の選択の適用を受けたい又はやめたい課税期間の前期末まで(個人の場合には前年末)に提出する必要があります。

決算期末(個人の場合は年末)までに、翌期(又は翌年)の計画をよく確認し、適用を受けるかどうかを判断する必要があります。

 

〇翌期(翌年)に大きな設備投資がある場合や業績悪化による赤字となってしまう場合、輸出売上げが恒常化していく場合には、課税事業者を選択した場合に還付となる可能性があります。

消費税を納める義務がない免税事業者では還付は受けられませんので、留意が必要です。

納税者の認識では、還付を受けられると思っていたのに、免税事業者であったため還付を受けられない。

税理士の説明責任や届出書の提出ミスに対して損害賠償が起こされています。

要注意事項になりますので、このことだけでも頭に入れておいて頂ければ幸いです。

 

 

【編集後記】

先週末に海に遊びに行きました。息子は初めての海でしたので怖がって海には入れませんでしたが、砂浜でのんびりしていました。

 

大田区蒲田 濱野純税理士事務所

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