税金(個人)

平成30年度税制改正大綱!知っておきたい税制の改正~個人所得税編~

 

12月14日に平成30年度の税制改正大綱が公表されました。

税制改正大綱とは来年から施行予定の税に関する改正事項になります。

今回はその改正事項の中でも、個人所得税について見ていきたいと思います。

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 改正の趣旨(税制改正大綱より)

今回の税制改正では、どのような狙いがあり改正がされるのでしょうか?

自民党が決定する税制改正大綱には次のような記載があります。

 

「税制面においては、働き方の多様化を踏まえ、特定の働き方だけではなく、様々な形で働く人をあまねく応援し、「働き方改革」を後押しする観点から、個人所得課税について、これまで検討を重ねてきた見直しの方向性に沿って給与所得控除・公的年控除の制度の見直しを図りつつ、一部を基礎控除に振り替えるなどの対応を行う。」

 

日本における個人課税においては、給与収入の人達が優遇されてきました。

これは日本の従来からの働き方、会社に就職後、終身雇用を経て、退職金と年金で老後を過ごすという生き方があったからです。

しかし、昨今においては、終身雇用という働き方も崩れてきており、給与をもらって生活する人達ばかりでなく、独立してフリーランスで働く人、手に職をつけて在宅で働く人等、働き方も多様化してきました。

今回の改正では、働き方も多様化してきた状況をみて、個人に対する課税についてもバランスを図ったものになりました。

 

 

改正の内容

 

基礎控除の見直し

概要

〇基礎控除の控除額が一律10万円引き上げられます。

所得税の基礎控除が38万円から48万円に、住民税の基礎控除が33万円から43万円となります。

〇合計所得金額が2,400万円を超える場合については、超える所得金額に応じて基礎控除額が逓減していき、合計所得金額が2,500万円を超える場合には基礎控除がゼロとなります。

 

 

適用時期

平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の住民税に適用されます。

 

 

給与所得控除等の見直し

概要

〇給与所得控除の控除額が一律10万円引き下げられます。

〇給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除については、控除額の上限が195万円となります。

〇給与収入が850万円を超える場合であっても、23歳未満の扶養親族がいる場合等、介護・子育て世帯である場合には、負担増が生じないよう措置がとられます。

給与所得控除とは、いわばサラリーマンのみなし経費と言われるものです。

この給与所得控除の額が10万円引き下げられますが、同額基礎控除の額が10万円引き上げられるため、改正後においても税負担は生じません。

しかしながら、給与収入が850万円超であり、子育て世帯でない場合には、増税となります。

 

 

適用時期

平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の住民税に適用されます。

 

 

公的年金等控除の見直し

概要

〇公的年金等控除を一律10万円引き下げられます。

〇公的年金等の収入が1,000万円を超える場合には、控除額の上限が195.5万円となります。

〇公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には、控除額が更に一律10万円引き下げられます。合計所得金額が2,000万円超の場合には、控除額が更に一律20万円引き下げられます。

給与所得控除の場合と同様に、公的年金等控除額が10万円引き下げられますが、基礎控除が10万円引き上げになるため、改正後においても税負担は変わりません。

しかしながら、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合や年金等に係る雑所得以外の所得が1,000万円を超える場合には、増税となります。

 

適用時期

平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の住民税に適用されます。

 

 

 税制改正の影響を受ける人達

〇基礎控除が一律10万円引き上げになるため、フリーランスで働いている人等の事業所得や不動産所得を得る人たちは減税になります。

〇給与収入であるサラリーマン等は、年収850万円以下であれば影響なし、850万円超であっても子育て世帯であれば影響なし、それ以外の場合には増税となります。

〇公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合や年金等に係る雑所得以外の所得が1,000万円を超える場合には、増税となります。

 

  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

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