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【平成29年度税制改正】研究開発税制 試験研究費の範囲の改正

 

平成29年度税制改正により、試験研究費の範囲に一部改正が入り対象が拡充されています。

今回はその改正が入った試験研究費の内容について見ていこうと思います。

 

対価を得て提供する新たな役務の開発

平成29年度税制改正により、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲に、対価を得て提供する新たな役務の開発を目的とした試験研究(サービス研究)のための一定の費用が追加されました。

サービス研究の費用が試験研究費と認められるためには、(1)その役務が新たな役務の開発を目的として、(2)以下のサービス設計工程(情報の収集,分析,設計,確認という4工程)の全てを行うこと等が必要になります。

 

①情報の収集
大量の情報を収集する機能を有し、その機能の全部若しくは主要な部分が自動化されている機器若しくは技術を用いる方法によって行われた情報の収集又はその方法によって収集された情報の取得。

②分析
①の収集又は取得に係る情報について、一定の法則を発見するために行われる分析で、情報の解析に必要な確率論及び統計学に関する知識並びに情報処理に関して必要な知識を有すると認められる者により情報の解析を行う専用のソフトウェアを用いて行われる分析。

③設計
②の分析により発見された法則を利用した当該役務の設計。

④確認
③の設計に係る法則が、予測と結果とが一致することの蓋然性が高いものであること、その他妥当であると認められるものであること及び当該法則を利用した当該役務が当該目的に照らして適当であると認められるものであることの確認。

 

 

新たな役務の意義

1で記載した(1)の「新たな役務」に該当するかどうかは、今まで世の中に全く無かったサービスに該当するかどうかではなく、その役務を提供する法人にとって従前に提供していない役務に該当するかどうかによって判定することとされています。

一方で、従前に提供している役務がある場合の新たな役務の判定については、例えば、以下の場合には「新たな役務」に該当するとされています。

(1)当該法人が提供する役務が従前に提供している役務と比較して新たな内容が付加されている

又は

(2)当該法人が提供する役務の提供方法が従前と比較して新たなものである

 

 

サービス設計工程の全てが行われるかどうかの判定

上記で記載した(2)のサービス設計工程の全てが行われるかどうかについては、法人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階において決定しているかどうかにより判定することとされています。

この点、サービス設計工程の全てが当該事業年度に完了していない場合又は当該事業年度において試験研究が中止になった場合であっても、法人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階で決定しているときには、その試験研究はサービス設計工程の全てが行われる試験研究に該当するとされています。

なお、サービス設計工程の全てを実行することの判定については、当該法人がその全部又は一部を委託により行うかどうかについては問わないとされています。

 

 

試験研究費の範囲が改正された場合の取扱い

試験研究費に含まれる費用の範囲が改正された場合には、比較年度の試験研究費の額についてもその改正後の規定により計算する必要があります。

そのため、総額型又は中小企業技術基盤強化税制において増減試験研究費割合が5%超の場合の特例を適用する場合には、その期にサービス研究を行うか否かにかかわらず、必ず、サービス研究のための一定の費用が加えられた「改正後の試験研究費の範囲」に基づいて過年度分の試験研究費を再計算することが必要になりますのでご留意ください。

 

 

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  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

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