税金(法人)

【H29年度税制改正】中小企業経営強化税制が創設されています

H29年度税制改正により、中小企業経営強化税制が創設されました。

比較的要件が緩い制度になっており、一定の手続きを踏めば、税メリットを受けることができます。

今回はこの経営強化税制(主にA類型)について見ていきます。

 

制度の概要

この制度は、中小企業者等が、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、特定経営力向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、その特定経営力向上設備等の取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額の特別償却(即時償却)とその取得価額の7%(中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人の場合には10%)相当額の税額控除との選択適用ができるというものです(措法42の12の4 ①②)。

税額控除の適用を受ける場合における税額控除限度額は、当期の調整前法人税額の20%相当額が上限で、税額控除限度超過額については1年間の繰越しができることとされています。

また法人税の軽減の他に、固定資産税の軽減措置も受けられます。

 

制度の内容

適用対象法人

適用対象となる中小企業者等及び特定中小企業者等は次の通りになります。

■中小企業者等…資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人等で青色申告書を提出する下記法人以外の法人

①発行済株式又は出資の総数又は総額の1/2以上が同一の大規模法人(資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除く)の所有に属している法人

②発行済株式又は出資の総数又は総額の2/3以上が大規模法人の所有に属している法人

■特定中小企業者等…中小企業者等のうち資本金の額又は出資金の額が3,000万円以下の法人等

 

適用期間

適用期間は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間とされています(措法42の12の4 ①②)。

 

適用対象資産

適用対象資産は、生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備並びに一定のソフトウエアで、中小企業等経営強化法第13条第4項に規定する経営力向上設備等に該当するもののうち一定の規模のもの(以下「特定経営力向上設備等」といいます。)とされています。

 

① 生産等設備

生産等設備は、これまでの取扱いにおいて、法人の事業の用に直接供される減価償却資産で構成されているものとされています。

したがって、例えば、事務用器具備品等は、生産、販売、役務提供といった付加価値の生成による収益の稼得に直接関係しない、業務遂行上いわば間接的に必要とされる設備ですので、生産等設備には該当しないこととされています。

 

② 一定のソフトウエア

ソフトウエアは、電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたものとされており、これに関連するシステム仕様書その他の書類を含むものとし、複写して販売するための原本、開発研究の用に供されるもの及び一定のものは除くものとされています(措令27の6 ①、27の12の4 ①、措規20の3 ②③)。

 

③ 経営力向上設備等

経営力向上設備等は、経営力向上に著しく資する設備等で、その中小企業者等のその認定に係る経営力向上計画に記載されたものに限ることとされています(措法42の12の4 ①、措規20の9 ①)。

(注1 )経営力向上に著しく資する設備等とは、機械及び装置、器具及び備品工具(生産性向上設備にあっては、測定工具及び検査工具に限ります。)、建物附属設備(医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除きます。)並びにソフトウエア(生産性向上設備にあっては、設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するものに限ります。)で、次のいずれかに該当するものをいいます。

イ 生産性向上設備(次のⅰ及びⅱのいずれの要件(ソフトウエア及び旧モデルがないものにあっては、次のⅰの要件に限ります。)にも該当する設備をいいます。)

ⅰ 一定期間内に販売されたモデルであること。

ⅱ 経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度等をいいます。)が旧モデルと比較して年平均1 %以上向上しているものであること。

ロ 収益力強化設備(年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備をいいます。)

 

④ 一定の規模のもの
一定の規模のものは、次の減価償却資産の区分に応じたそれぞれ次の規模のものとされています(措法42の12の4 ①、措令27の12の4 ②)。

イ 機械及び装置 1 台又は1 基の取得価額が160万円以上のもの
(注1 ) 1 台又は1 基は、通常1 組又は1 式をもって取引の単位とされるものにあっては、1 組又は1 式とすることとされています。
(注2 ) 取得価額とは、法人税法施行令第54条第1 項各号の規定により計算した取得価額をいいます。

ロ 工具、器具及び備品 1 台又は1 基の取得価額が30万円以上のもの

ハ 建物附属設備 一の建物附属設備の取得価額が60万円以上のもの

ニ ソフトウエア 一のソフトウエアの取得価額が70万円以上のもの

 

【参考】経済産業省資料(経済産業関係 税制改正について)

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 適用手続き

ここでは手続きが比較的容易であるA類型に係る手続きについてみていきます。

手続きスキーム図(出典:中小企業庁)

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①中小企業者等は、当該設備を生産した機器メーカー等(以下「設備メーカー」)に証明書の発行を依頼します。

②~④は設備メーカーの手続きのため省略

⑤中小企業者等は、④の確認を受けた設備について、経営力向上計画に記載し、認定を受ける必要があります。手続きに際しては、経営力向上計画の申請書に、④の証明書の写しを添付する必要があります。

⑥認定を受けた経営力向上計画に基づき取得した経営力向上設備等については、税法上の他の要件を満たす場合には、税務申告において税制上の優遇措置の適用を受けることができます。税務申告に際しては、④の証明書、⑤の申請書及び⑥の認定書(いずれも写し)を添付してください。

 

経営力向上計画の認定

この制度の適用をうけるためには経営力向上計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。

計画の申請書様式は2枚で、①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標、④経営力向上の内容など簡単な計画等を記載します。

様式のフォーマットは以下のようなものです。

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設備の取得時期について

経営力向上設備等については、経営力向上計画の認定後に取得することが原則となっています。

設備を先に取得してしまった場合には、例外として、設備取得から60日以内に経営力向上計画が受理されれば良いことになっています。

 

まとめ

上述してきた1~5(A類型)の内容を簡単にまとめると、

①一定の設備投資等を行う場合に、購入先に中小企業経営強化税制の適用を受けたい旨を伝え、購入先から対象設備に係る証明書を取得する。

②経営力向上計画の申請書を記載して、証明書を添付して、国の認定を受ける。

③設備の取得をして、事業供用する。

④事業供用した年度において、税務申告時に税の優遇措置を受けることが出来る。

経営力向上計画の認定をあらかじめ受けておかなければならない点がポイントになります。設備投資を行う予定がある場合には、早め早めに手続きの準備をしておくのが良いと思います。

 

 

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  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

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