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【税務相談】役員の申し出による給与支給額の減額(自主返還と臨時改定事由)

投稿日:2018年10月12日 更新日:

 

会社の役員の不祥事で、報酬の〇%をカットという話をよく耳にします。税法では、役員報酬は毎月同額でないと損金(費用)として認められないことになっています。しかし、減額することにやむを得ない事情がある時は、役員報酬の額に変動があっても損金として認められるケースもあります。今回は、やむを得ない事情の一つである「臨時改定事由」と自主返納という形で報酬を減額させた時の税務上の取扱いについてみていきます。

 

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質問【役員給与を自主返還又は減額した場合の取扱い】

【質問】役員報酬が自主返還された時の処理はどのようにしたらよいか?

当社では、役員の一人が不祥事の責任をとって向こう3か月分の報酬の減額の申し合わせを受け、いわゆる役員による自主返還が行われ、結果として役員報酬の減額となりました。4ヶ月後の支給分からは、従来どおりの報酬金額にもどる予定です。

なお、株主総会においては、役員給与の件は議案に含まれていなかったため、役員全員前期と同額の報酬月額が支給されています。

当社の先の自主返納を受けた役員給与は、損金に算入できるでしょうか?また、自主返納とせずに、株主総会等で減額を決定し役員給与額自体を減額した場合はどうでしょうか?

 

 

ご質問への回答

自主返還による減額ということであり、役員給与の改定が行われたということではありませんので報酬支給額は損金の額に算入されます。また、減額分については役員からの自主的な返納額として雑収入等で受け入れ処理することとなります。

また、役員給与の一定期間の減額が社会通念上相当と認められる範囲のものであるときは、その減額改定についても臨時改定事由によるものとして定期同額給与に該当します。

 

 

解説

 

自主返納における取扱い

役員給与の減額が役員の申し合わせにより、自主返納として行われています。「申し合わせ」による減額ということですから、会社法上の手続きによる「改定」が行われたということにはならないため、法人税法上のいわゆる「減額改定」は行われてはいないということになると考えられます。

従って、会社の処理としては、返納を受けた月を従前と同様の金額の役員給与の支給があったものとして、源泉所得税や社会保険料等を徴収する処理を行い、役員の減額分については、会社が役員から自主的に返納を受けたものとして雑収入に計上することとなります。

 

臨時改定事由による減額

減額することを申し合わせではなく、責任追及として株主総会等の決議により実施し、税法上の減額改定が一時的に行われた場合にはどうなるでしょうか。

役員の不祥事による減額改定が、税法上で定められている臨時改定事由に該当するかどうかが論点となります。

この場合においては、役員給与の一定期間の減額が社会通念上相当と認められる範囲のものであるときは、臨時改定事由に該当し、損金に算入することができます。

 

①臨時改定事由とは?

臨時改定事由とは、定期同額給与とされる定期給与の額の改定の一つで「役員の職制上の地位の変更、役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」により行われるものをいいます。

どのような事情が生じたときにこれに該当するかについては、個々の実態に即し、役員給与の額を改定せざるを得ないやむを得ない事情があるかどうかにより判定することになると考えられます。

 

②臨時改定事由の具体例

具体的例示として以下があります。

イ 【役員の分掌変更】

社長が任期途中で退任したことに伴い副社長が社長に就任する場合は、一般的には、その地位及び職務内容ともに重大な変更があると認められることから、臨時改定事由に該当する。

 

ロ 【組織再編成の場合】

合併法人の取締役が合併後も引き続き同じ地位に留まるものの、その職務内容に大幅な変更がある場合等が該当する。

 

ハ 【病気のため職務が執行できない場合】

役員が病気のため一定期間の入院が必要となり、一定期間の入院が必要となり、当初予定していた職務の執行が一部できない状態となった場合が該当する。

 

ニ 【役員の不祥事等の場合の一定の減額】

会社やその役員が不祥事等を起こした場合に役員給与の額を一定期間減額するということがあるが、このような役員給与の一定期間の減額が社会通念上相当と認められる範囲のものであるときは、その減額改定及び増額改定についても臨時改定事由によるものに該当する。

 

③不祥事によるものが臨時改定事由に該当する理由

このような役員の不祥事等による一時的な減額が臨時改定事由として認められる理由としては、企業秩序を乱した役員の責任を問うべく、一定期間の役員給与の減額処分を行うことは、企業慣行として定着しており、これを同額の定期給与の支給と取り扱わないとすれば、実態からかけ離れることにもなりかねません。

また、いったん支給した定期給与をその役員が自主的に返還した場合には定期同額給与として取り扱われるところ、その実質が同じである役員給与の減額処分について異なる取扱いとすれば著しくバランスを失することになるとも考えられます。

したがって、役員給与を一時的に減額する理由が、企業秩序を維持して円滑な企業運営を図るため、あるいは法人の社会的評価への悪影響を避けるために、やむを得ず行われたものであり、かつ、その処分の内容が、その役員の行為に照らして社会通念上相当のものであると認められる場合には、減額された期間においても引き続き同額の定期給与の支給が行われているものとして取り扱っても問題がないと考えられます。

 

 

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