接待交際時の移動手段として、タクシーを利用した場合の取扱いは、以下に記載するとおりいくつかのパターンに分けられ、交際費になるものや旅費交通費として処理するものとに分かれることになります。
社内交際費に係るタクシー代
接待終了後に社員だけで飲食を行った後のタクシー代や、社内交際費(役員・社員同士の飲食費(社内接待費))に係るタクシー代は「交際費」になります。
過去にこの点について争われた裁判があり、交際費になるという判決が出ています。
他社が主催する接待に参加する時のタクシー代
接待を受ける場合のタクシー代は、交際費にはなりません。(旅費交通費等になります。)
こちらについては、国税庁から質疑応答事例として見解が公表されています。
他社が主催する懇親会に当社の従業員又は役員を出席させるために要するハイヤー・タクシー代(当社~懇親会会場、懇親会会場~自宅)は、会社の業務遂行上の経費であり、接待、供応等のために支出するものではないことから、交際費等以外の単純損金(旅費交通費)として処理してよいことになります。
自社が開催する接待の場合のタクシー代
自社主催の場合の会場までのタクシー代は、自社の接待に含まれるため交際費扱いになります。
では、深夜に及ぶような接待に従事した従業員が帰宅のために使用するタクシーの料金はどうでしょうか。
こちらの取扱いについては、規定されているものがなく、どう解釈するかによって判断が分かれています。
通常の深夜に及ぶ残業のあとにタクシーを利用して帰宅する場合と同様に、接待の後のタクシー代も交通費とみるべきであるという見解があります。この見解は、接待は得意先をタクシーに乗せて帰らせた時点で終了するという立場に立ち、「接待の残業」と「通常の残業」とでは業務に関連した残業という点では異なるものではないとし、残業に伴って生じるタクシー代を交通費として考えることができるという解釈をとっています。
一方で、接待等が、得意先との円滑な関係を保つために業務の一環として行われるものであったとしても、通常の業務として行われる残業とはその性格が異なり、一般的には、接待終了後にタクシーを利用することとなったことと懇親会等による接待に関連性があることなどから、接待後のタクシー代は交際費の付随費用として交際費等に該当するものという解釈もあります。
最終的には、接待、供応、慰安、贈答に伴って必然的に発生するものかどうか、その事実認定により解釈されると考えられます。
接待ゴルフに参加するための交通費
ゴルフは、双方でプレーすることの楽しさを享受することに意義があることから、接待の実施者が主催者だけではないといえます。
したがって、自社開催・他社開催を問わずに接待ゴルフに参加するための交通費は、交際費とされる可能性があるということになります。