会社が役員や従業員の飲食代を負担する場合、交際費、福利厚生費、会議費のどれに該当するのでしょうか。今回は、役員と一部の従業員で行う食事会を例に、1人当たり1万円以下の取扱いも含めて確認していきます。
質問【役員・従業員だけで行う食事会の費用】
当社(9月決算、資本金1,000万円)では、社内のコミュニケーションを図ることを目的に、月に1回程度、役員2名と従業員4名で食事会を行っています。
全社員を対象とした行事ではなく、参加者は役員が声をかけた従業員になります。業務の話もしますが、会議として開催しているわけではありません。
費用は会社が負担しており、1回当たり50,000円前後、1人当たりでは約8,300円です。
社外の人は参加していませんが、福利厚生費や会議費として処理できますでしょうか。また、1人当たり1万円以下であれば、交際費には該当しないと考えてよろしいでしょうか。
ご質問への回答
ご質問の食事会が、会社の業務に関連した懇親を目的とするものであれば、原則として交際費等(いわゆる「社内交際費」)に該当すると考えられます。
社内接待の飲食費には、1人当たり1万円以下の飲食費を交際費等から除く取扱いは適用されません。
ただし、一定の中小法人に認められる定額控除限度額の制度を適用する場合には、他の交際費等と合わせて年800万円まで損金に算入できます。
解説
社内の飲食代も交際費等に該当する
交際費等の支出の相手方は、取引先に限られません。国税庁の通達では、その法人の役員や従業員、株主等も含まれるとされています。
そのため、社外の人が参加していなくても、役員や従業員に対する接待・慰安を目的とした飲食代は、交際費等に該当することがあります。
参考:国税庁「交際費等の範囲」61の4(1)-22
福利厚生費となる飲食代との違い
忘年会などの従業員を広く対象とした会社行事で、行事の内容や費用が社会通念上相当な範囲であれば、飲酒を伴う場合でも、福利厚生費として処理することが可能であると考えられます。
これに対し、ご質問のように、役員が声をかけた特定の従業員との懇親を目的とする食事会は、通常、これらの行事と同じようには取り扱うことができません。
ただし、参加人数が少ないというだけで判断するものではありません。
例えば、「全社員に案内したものの、一部が欠席した場合」と「最初から特定の人だけを誘った場合」では、参加者が一部でも、行事の対象範囲や参加の機会が異なります。実務では、誰に案内し、どのように参加者を決めたかも確認しておくことが大切です。
参考:国税庁「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」
業務の話をしただけでは会議費にならない
会議に関連して提供する茶菓や弁当など、通常必要となる飲食費については、交際費等から除かれます。通達では、会議の際に社内や通常会議を行う場所で提供される、通常の昼食の程度を超えない飲食費が例示されています。
したがって、実際の会議に伴う飲食なのか、飲酒や懇親を主な目的とする食事会なのかを区別する必要があります。食事中に業務の話をしたというだけで、会議費になるわけではありません。
なお、会議に伴う通常の飲食費に該当する場合は、1人当たり1万円を超えていたとしても、次の1万円基準とは別に交際費等から除かれることになります。
参考:国税庁「交際費等の範囲」61の4(1)-21
社内接待には「1人当たり1万円以下」の基準は使えない
飲食費には、一定の書類を保存することなどを条件に、1人当たり1万円以下のものを交際費等から除く取扱いがあります。(1万円を判断するにあたっての消費税の取扱いは、会社が採用している経理方法(税抜経理、税込経理)により判断します。)
ただし、専ら自社の役員・従業員やその親族に対する接待等のために支出する飲食費は、その対象から除かれています。
ご質問の場合、50,000円を6人で割ると約8,333円ですが、社内接待の飲食費であるため、この取扱いによって交際費等から除くことはできません。
参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
交際費等への該当と損金算入は別の判断
期末資本金が1億円以下の一定の法人は、交際費等を年800万円の定額控除限度額まで損金に算入することができます。社内交際費もこの対象になります。
ご質問の法人は資本金1,000万円ですので、資本金5億円以上の法人の100%子法人等や一定の通算法人に該当しなければ、この制度を適用することができます。
この場合、他の交際費等と合わせて限度額以内であれば、今回の食事会の費用も損金に算入することができます。なお、事業年度が1年未満の場合は、限度額を月数で按分します。
一方、接待飲食費の50%を損金に算入する制度では、社内接待の飲食費は対象外になります。どちらの制度を適用するかによって、損金算入額が異なる点に注意が必要です。
私的な飲食代の会社負担には注意が必要
会社の業務と関係のない個人的な飲食代を、本人に負担させず会社が負担する場合には、原則として給与(経済的な利益)として取り扱われます。役員の場合には役員給与の損金算入要件が問題となり、給与としての源泉徴収も確認する必要があります。
飲食代の区分は、勘定科目の名称ではなく実態によって判断します。領収書と併せて、参加者、開催目的、案内の対象範囲、会議であれば議題などを残しておくと、処理の根拠を説明しやすくなります。
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※本記事は、一般的な税務上の取扱いについて解説したものであり、個別の事案に対する税務上の判断や処理を保証するものではありません。実際の取扱いは、取引内容や事実関係、適用される法令・通達等により異なる場合がありますので、具体的な判断に当たっては、税理士または所轄の税務署等にご確認ください。なお、本記事の内容は公開日時点の法令・制度等に基づいています。
