会社がイベントや競技大会を開催し、成績上位者に賞金を支払うことがあります。
賞金を受け取る人が事業者ではなく、一般の個人である場合、その賞金を課税仕入れとして仕入税額控除の対象にできるのでしょうか。
今回は、スポーツ大会の参加者に支払う賞金を例に確認していきます。

質問【一般参加者に支払う賞金の消費税の仕入税額控除の取扱い】
■質問
当社では、的に向けて用具を投げ、獲得した点数を競う屋内スポーツ大会を定期的に開催しています。
参加者は一般の個人で、あらかじめ定めた順位に応じて賞金を支払います。
大会の開催には、会社や店舗の広告宣伝、集客増加という目的があります。この場合、一般参加者に支払う賞金は仕入税額控除の対象となるのでしょうか。
ご質問への回答
今回の賞金は、会社側では課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象になると考えられます。
参加者が事業者ではない場合、参加者側では消費税の課税対象とはなりませんが、会社側では、競技への参加という役務の提供を受けた対価として課税仕入れに該当する可能性があります。
ただし、一般参加者は通常、適格請求書発行事業者ではないため、仕入税額控除については、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置を適用することになります。
解説
一般の個人からの仕入れも課税仕入れとなる
消費税の課税仕入れには、課税事業者からの仕入れだけでなく、免税事業者や一般消費者から受けた資産の譲渡、貸付け、役務の提供も含まれます。
したがって、賞金の受取人が事業者ではないことだけを理由として、会社側の課税仕入れから除外されるというわけではありません。
ただし、賞金であればすべて課税仕入れになるのではなく、賞金と参加者が行った役務との間に、対価関係があるかどうかを個別に判断する必要があります。
スポーツ大会の賞金の場合
今回の大会では、あらかじめ順位に応じた賞金が設定され、参加者は競技の技能や得点を競い、その結果に応じて賞金を受け取ります。
また、会社は大会を広告宣伝や店舗への集客に利用しています。
このような関係であれば、単なる贈与や偶然当選する懸賞ではなく、競技への参加や競技行為と賞金との関連性が認められるため、会社側では課税仕入れとして取り扱うことが相当であると考えられます。
一方、抽選や福引のように、参加者の技能や役務とは関係なく賞金が支払われる場合には、取扱いが異なる可能性があります。
インボイス制度における保存書類
一般参加者がインボイス登録をしていない場合、仕入税額控除については、免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の対象となります。
経過措置の適用を受けるためには、大会要項、順位表、振込記録などに加え、会社が支払明細書を作成して保存しておくことが考えられます。
支払明細書には、会社名、受賞者の氏名、競技日、取引内容、賞金額などを記載し、受賞者から内容の確認を受けます。
また、帳簿にも、経過措置の対象となる課税仕入れである旨を記載する必要があります。
賞金の源泉徴収にも注意
今回のように、広告宣伝や集客を目的として会社が支払う賞金は、所得税法上の「広告宣伝のために支払う賞金等」に該当する可能性があります。
居住者である個人に支払う場合には、賞金額から50万円を控除した残額に10.21%を乗じた金額を源泉徴収します。
賞金額が1人1回につき50万円以下であれば、源泉徴収税額は生じません。
なお、参加者からエントリー料を受け取っている場合、その参加費は賞金の処理とは別に、会社の課税売上として取り扱うことになる点に注意が必要です。
※本記事は、一般的な税務上の取扱いについて解説したものであり、個別の事案に対する税務上の判断や処理を保証するものではありません。実際の取扱いは、取引内容や事実関係、適用される法令・通達等により異なる場合がありますので、具体的な判断に当たっては、税理士または所轄の税務署等にご確認ください。なお、本記事の内容は公開日時点の法令・制度等に基づいています。