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法人成り メリットとデメリットの件

 

個人事業者が法人を設立することを「法人成り」と呼びますが、個人事業が軌道に乗ってくれば、一度は考えるのではないかと思います。

なぜ、考えるのかというと、法人成りにはメリットもデメリットもあるからです。

今回はこの法人成りについて、メリット・デメリットを見ていきたいと思います。

 

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法人成りの一般的なメリット

(1).給与所得控除が使える

法人成りをして会社から給与を受け取るようにすれば、経営者自身の所得税で給与所得控除が使え、節税になります。

 

(2).消費税が最大2年間免除される

資本金が1,000万円未満の法人は、2期にわたって消費税が免税となります(但し特定期間の課税売上や、特定新設法人の規定により免除にならない場合がありますので留意してください)。

 

(3).決算期が自由に設定できる

個人事業者の場合は12月決算の3月15日申告と時期が固定されていますが、法人は決算期が自由に設定できます。

 

(4).繰越欠損金の繰越控除の年数が増える

個人は3年ですが、法人の場合は10年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合)になります。

 

(5).所得の分散効果が得られる

個人事業主として事業を続けた場合に係る税金は、最高で55%になります。(所得税・住民税)

一方法人の場合には、年800万円の利益までは、21~23%程度。最高でも33.8%ですので、利益が多く出る場合には法人成りして、法人として稼いだ方が税は抑えられます。

法人で稼いだ利益は、(1)のように給与として受給すれば、給与所得控除が使えますので、更に税が抑えられることになります。

法人の税率については、下記の記事を参考にしてください。

これだけは押さえておきたい会社の税金【2】~税率を押さえて見込税額を把握~

  前回に引続き2回目として、中小企業の社長さんが押さえておきたい会社の税金の話をします。 今回のテーマは税率です。 税率が把握できれば、利益を基におおよその税金負担額を把握できるようになり ...

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(6).少額で法人設立が可能になった

以前は株式会社の資本金は1,000万円程度必要でしたが、会社法が施行されて以来最低資本金制度が撤廃されたため、現行法上は、資本金の金額を自由に決めることができます。

ですから、極端な話をすれば、法律上は資本金1円の株式会社を設立することも可能です。

 

 

法人成りの一般的なデメリット

(1).法人設立の手間と費用

定款を定めて、登記をしなければならず、定款認証手数料や登録免許税が必要となります。

 

(2).社会保険の加入

個人事業では4人までの雇用であれば社会保険の加入義務はありませんが、法人成りすると1人でも社会保険への加入が義務付けられます。

 

(3).赤字でも7万円の法人住民税がかかる

均等割と呼ばれる部分で、赤字だったとしても税金が取られます。

 

(4).決算と確定申告が必要になる

個人事業主であれば所得税の申告を自分ですることも不可能ではないと思いますが、法人の場合の確定申告は、会計・税務の専門的な知識が必要になります。

自分でやることは不可能ではないと思いますが、自己学習に多く時間を取られることになり、本業がおろそかになってしまっては元も子もありませんので、税理士に依頼することになると思います。

 

 

 あまり数字には出てこない「対外的な信用」

対外的な信用はどうしても個人事業よりも法人の方があるものです。融資や取引で見劣りしないように法人成りをする、というのも立派な理由です。

色々な視点から法人成りをするかしないかを判断した方が良いでしょう。

 

  • この記事を書いた人

jun.hamano

濱野純税理士事務所 代表。 【事務所HP】https://hamanotax.com 1980年10月 埼玉生まれ。埼玉県草加市育ち、東京・蒲田在住。税理士。中小企業診断士。節税、節約、税務処理を身をもって実践しブログに公開しています。

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